「大和橘」に魅せられて
2022年3月14日スタッフブログ
皆さんこんにちは! 調理課の市場です。
皆さんは“大和橘”って、御存知ですか?僕は、つい最近知りました。
今回は、その大和橘について、少しお話させていただきます。
先日、奈良県産の食材で面白いものないかな?と話していたところ、営業のスタッフさんから、『大和橘』どうですか?と提案があり、早速サンプルをいただき、試してみました。
初見、驚きました。大きさは2~3㎝の形は“みかん”・・・。
『なんか・・みかんのミニチュアやん・・』と、思いながら剥くと、
中身も、みかんのミニチュア・・。食べてみる と、酸っぱい!苦い!
『これは、どうしたらいいねん(汗)』という感じでした。
数日冷蔵庫に入れ、存在を忘れかけてた頃、試食当日お休みだった調理スタッフが発見し、「サンプルですか?食べていいですか?」「どうぞ・・」とのやり取り後、案の定の表情を浮かべると思いきや、普通の表情で、「やや酸味ありって感じですね。」とのこと。僕も食べてみたところ、以前より甘みがあり、酸味・甘味・渋味・苦味・旨味のバランスがとれている感じでした。
改めて興味が沸き、生産者さんに御会いできる運びになり、お話を聞いてきました。
「大和橘」は、日本に古くから野生しているミカン科ミカン属の常緑小高木です。
絶滅危惧種に指定されている日本固有の柑橘で、古から日本人に愛された植物だったそうです。古事記や日本書紀にも登場していて「非時香果実(ときじくのかぐのこのみ)=永遠に香る果実」と表現され、不老長寿の象徴とされています。また、文化勲章や500円硬貨のデザイン、橘紋という家紋にもされているくらい、日本を象徴する植物だそうです。
第11代垂仁天皇の勅命を受けた『菓子の祖 田道間守(たじまもり)』が、
辛苦の末に常世の国より持ち帰ったとされています。
その御陵が鎮座する、尼ヶ辻の地でも、『大和橘』を生産されています。
効能としては、葉の香り:血流量増加や保湿作用の効果が期待でき、
果皮=橘皮は漢方的に消化不良やおなか周りの張りや吐き気、
痰が多くて苦しいときに用いられる程。
しかし、僕が感じた最大の特徴は、どの柑橘にもない香り。
上品な香りなんです。
生産者さんの言葉では、邪を払うかのような、
清らかで凛とした香り、嚙んでみると思いのほか柔らかい。
「きれいな苦み」これが大和橘の個性です!とのことでした。
葉も、ハーブティーや魚や肉の臭み消しはもちろん、香り付けにも使えるし、実は、ジャムやコンポート、皮実ごと蜜煮にし、ショコラにするのも一興ですし、柚子胡椒ならぬ橘胡椒の存在も知りました。非常に興味深いお話と、生産者さんの熱い魂に触れ、改めて食材の力・魅力を再認識しました!
奈良県の宿泊施設の料理人として、奈良県の食と風土の魅力
をお届けできるよう、食材への興味を絶やさぬよう精進して
まいりますので、今後とも宜しくお願い致します。
そろそろ暖かくなり、桜が咲き誇る季節になりますね!
レストランソレイユ、ガーデンでは、桜にちなんだ御料理、その次は、大和の食材を取り入れた御料理やスイーツ等を御用意して、御客様のお越しを、スタッフ一同お待ち申し上げております。
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